パッと咲いたHarmony
直後のバイブ音と重なって、通話の始まり。
なんか良いよね二人
殆どのパートが、主旋律と何方かのオク上で進むところに、“二人の通話”であるということを自覚した。吐息や微笑んだ声が電話越しに聞こえて、当事者であることを自覚する。
何も話すわけじゃないのに
だけど…まだ切らなくてもいい?
この時はまだ、 「切らなくてもいい?」と聞いていたのが、可愛らしく。今日話したいなと思っていたこともひとしきり話し終わって、いい時間になってきたから切らないとなあと思う時間に言われたら、喜んでしまうなあ。
ただ(ただ)今(今)
繋がるだけでいいから
追いかける声のエフェクトで、同じ言葉が重なると、スピーカー越しに二人の気持ちがお揃いだと感じて浮ついてしまうのに、繋がるだけでいい という部分に締め付けられる。
甘いのも悪くないな(ああ)
まどろむサイダー
まどろむサイダー、という言葉がとてもすき。
オク上パートが途切れると、言葉にはしなかった部分なのかなと思わされる。
話に夢中になり過ぎて、いつの間にか炭酸も抜けて温くなってしまったサイダー。刺激も爽快感も無くなって、どちらかといえば避けたいそれも、そこに至った理由を浮かべては愛おしくなる。
もしかしたら、カップのバニラアイスを浮かべていたのに思いきり溶かしてしまったサイダーかもしれない。
「おやすみ」じゃ、ねえ
終わりたくないね
黙って続けて良い夢が見れるまで
「切らなくてもいい?」と聞いていた頃から「終わりたくないね」と言えるほど、この通話が始まって、時間も回数も重ねてきた。楽しさが増して、「あと5分」がいつまでも来ない。良い夢が見れる前提なところ、愛おしいね。
パッと咲いたHarmony
ふたした言葉や笑い声が重なる瞬間が、少しずつ増えていく。
そんなとこまで同じ
逆に運命って話
ここでまたオク上パートが途切れて、狡い。何気ない共通点を嬉しいと感じている声なのに、口に出さない狡さと、出せない柵。
夜の風カーテンがふわり
“ふわり”でオク上パートの人の声だけを重ねるところが、一番に情景が浮かんだ気がした。柔らかくて優しい時間の象徴のよう。
「おやすみ」は、ねえ
言いたくなくて
黙って続けてもう夜が明けるまで
切望。
パッと咲いたHarmony
何度も積み重ねてきた時間が、また更に気持ちを大きくするのに踏み出せなくて。今日もいつもと同じように 二人だけの世界 が始まる。