ゲンゲンゲンジブ

 

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定刻と同時に鳴り響いたギターの音に驚けば、ステージにはプロッピー風の衣装を纏った7人。カジュアルな装いは、いつもの作り込まれた衣装やパフォーマンスよりも、【ファンミーティング】という名前にあるように、近さを感じさせてくれた。まだ登場をしただけなのに、いつも、この時点でお終いを確信する。

 

そんなこちらの心情は何のその。放課後ギュッと、楽し過ぎる。この歳になると、青春が眩しくて仕方が無いのに、軽快なロックサウンドと、彼らが歌うことで良い意味でフィクション味の増す歌詞が、楽しいという気持ちで満たしてくれる。東京での潤さんの「2023年お疲れ様!みんな、今日は自分を褒めていいぞ!」に、仕事を納めた直後の社会人、感極まった。この曲では内心、L・O・V・E ラブリー〇〇!とコールを打っているので、いつか口から飛び出ることが無いよう、気を引き締めていたい。

 

続くギミギミラブは、直前まで等身大の愛らしさを見せてくれていたのに、もう【可愛い】に振り切るのか…と、敗北した。いつもいつも、何も競っている訳ではないが、負けた気持ちになるのは何故だろうか。それなのに、ラスサビ前の音ハメで、長野さんが宙を蹴るもんだから、どうしたらいいか本当に分からない。長野さんの音ハメは、そこでその動きで音を取るんだ、と驚かされるし、運動が出来ない自分には到底できない音ハメなので、音楽もダンスも好きなことを実感して、振り返る度にじわじわと尊敬が大きくなる。たくさん聞いているんだろうなと。

 

出会いの曲、原因は自分にある。スタンバイの時点で小さく悲鳴が上がったのを聞いて、代名詞とも言えるこの曲が本当に愛されていることを感じた。ところで、【曲としての見せ場】が全員同時に訪れる構成、よくよく考えると規格外では?曲中にそれぞれの魅せ場がある構成も勿論素敵だが、サビの(今日はここで誰がくるんだろう)という高揚感は、7人が7人とも魅せ方が優れているからこそなんだなと、今、書きながら思い至った。エゴサして 猫なでて”のところに、いつものように堕としにかかる即効性の弾丸ではなく、こちらが既に堕ちていることを分かりきっているが故の毒を喰らった感覚をみた。

 

陰の曲、豪雨。言葉だけでもストーリー性が強いのに、それを更に際立たせる表現力に引き込まれる。どうして、直前まで「陰の曲…チョコループ?」などと楽しく会話を繰り広げていたのに、一瞬で曲の世界観に入り込むんだろう。“Uターン禁止のhighway”からの彷徨う様の、入り込み方が凄まじくて。本当に、消えてしまうのではないかと思った。この曲くらいから、曲の合間にトークを挟むシステムは、温度差で情緒が大変になることを悟った。

 

陽の曲、GOD 釈迦にHip-Hop。陰と陽が立て続くことはMC段階で把握していたが、いざ目の当たりにすると振り幅が凄まじい。下手で入った為、サビのダンスを目の前で見られた時点で全てが報われた感覚。ライブで世界観に合わせてセットリストは、全方位に逃げ場が無い中で覚悟を決めて聞くのだが、テーマに沿った曲が続くと、曲の良さとげんじぶの表現力を純度100で感じられて、とても素敵だなと。楽しいへの振り切りが強い。個人的にはこの曲が出会いの曲だったので、大阪1部で「最近の曲が入るのは嬉しい。聞いてくれてありがとう」ということを言ってくれる長野さんが、本当に大好き。出会いの曲でげんじぶが選ばれたことを「何年も前の曲で出会ってくれた人が沢山いることが嬉しい」と言ったばかりなのに、新しい曲にこんな言葉が出てくるの、げんじぶとげんじぶの音楽が大好きなんだなと痛感して、本当に。そんな人だから好きになったんだなと思う。

 

回替わりシリーズ、海の中と空の上ってそういうことだったんだ…とここで知る。貴方に溺れて、僕は潤んで。の、“その内側には何も見えないマスク”にリンクするかのように、普段表情でも魅せる長野さんが表情を抑えながら、その分感情が溢れ出るかのようなダンスのこの曲は、もうこの人のことしか考えられなくなる。だというのに、最後、“僕と貴方の手で”でこちらを見据えるその視線の力強さに、この曲の主人公が胸中に封じた愛をみて、呆然とした。

 

一方、空の上での青、その他は、言えなかった主人公が思いを昇華する歌詞に寄り添った、晴れやかで穏やかな表情なのに、視線はどこか憂いを帯びているような気がして。軽やかなダンスが、その指先が宙をなぞる度に、本当に、この人が飛び立ってしまうのではないかと恐くて、目が離せない。言えない思いを抱えながら見つめていたその姿が好きで、視線の先の何かになりたかったという羨望と寂寥。清々しさの裏に沢山の感情を乗せてくれるこの曲が好き。

 

〇〇といえばシリーズは、明瞭にフォーカスが当たっている状態でのパフォーマンスが見られて最高の一言。

Lion、浴びる度に好きになる。この熱量を込めながら綺麗に伸びやかに歌う潤さんの歌声は勿論のこと、空人さんが散々こちらを煽った挙句“つ・か・ま・え・た”で止めを刺しにくるところ、長野さんの攻撃的なダンスと“No look back”の後の感情の投げ方。自分がバンドサウンドが好きなこともあるが、否応なしにボルテージを引き上げられる。2Bでセンターにいる3人の表情、本当に。

 

かと思えば、ジュトゥブが続くので、もはや恐怖。雅哉さんが「もし結果が違っていてもジュトゥブがやるつもりでした」と言っていたのが堪らなく。正直、最後のたかりょたハグで記憶が埋め尽くされている。一本釣り?可愛いね…。そのあと「跳んでる最中にサイズ測られてますからね」って言ったのに、杢代さんにしか刺さらなかったことに文句言うの、ハチャメチャ可愛くて苦しかったですね。一体どれだけの愛の元で育ったら、こんなにも愛おしい人たちになるのだろう…。

 

大阪2部の黄昏よりも早く疾走れZeppの音響でベース強め曲を聞けて楽しくて、且つ、その中でパフォーマンスを見れたので尚更ベースとドラムと歌声のリズムがバチッと嵌るのが心地良かった。空人さんの、内側から込み上げてくる表情を見せてくれるような表現と、最後の“ああ 満たされないよ”の語尾と、歌い終わりの横顔がとてつもない。舌、出しましたよね…。

 

シェイクスピアに学ぶ恋愛定理も、見る度に好きになる。特徴的なベースラインと、またしても好きなシェイクスピアオマージュの歌詞のこの曲を踊る長野さんは、常にこの曲の主人公。シェイクスピア作品の、遊びと焦燥に満ちた華美な言葉たちを紡ぐ泥臭い人間たちが、どうしようも無くて惹かれる一方、それらをフィクションとして昇華させる演劇が好きで、それを全て詰め込まれているこの曲が好き。“僕がいるのかな 見透かされそうだ”のリズムの取り方や、指先どころか裾まで操るダンスが、まさしく“登場人物を演じる若手俳優”のようであり、“その若手俳優が演じている登場人物”のようであり。見る度に愛おしい。(最後、カメラのタイミング合わなかったことだけが少し悔しい、本当に最高表情をされていたので)

 

幽かな夜の夢は、個人的に本当に大好きな曲。触れたら消えてしまいそうな光咲さんの歌声と、ストリングスとピアノを、一見アンバランスなようで果てしなく相性の良いベースに焦燥感を掻き立てるし、その不安定さを表すかのような力強いダンスと繊細な表情に締めつけられた。“笑えないよ 笑いたいのに”が正しくそれで、“ああ 苦しいな”な各々の表情もまた、苦しい。苦しい。こんなにも苦しいのに大好きな曲を聞けて良かった。

 

そして蝋燭。要人さんの歌声を思う存分満喫できるので、流石にこの曲だと信じていたものの、この曲が恐かった。色々と重なり苦しくて眠れなかったリリース当時、眠れない夜に寄り添ってくれたこの曲は、好きでも、大好きでも足りない程に特別な存在で。そんな曲を、こうしてダンスパフォーマンスで見られたことが嬉しく、これからも見られることが楽しみで仕方が無い。“言い訳を探しているMoonlight Yeah”のアレンジには、そっと火の灯った蝋燭を置くかのような、丁寧さと不安が滲んでいて、それまで既で堪えた涙が溢れた。この曲の切なさや愛おしさの比率が、各々の解釈に委ねられていそうなところも好きで、またじっくりダンスを見たいなあと。

 

からの打って変わって、半分相逢傘“これでどっちも悪いね”の、悪いと思ってなさそうな飄々とした要人さんに困り果てた。のに、“君は嘘つき”のアレンジで、全て吹き飛んでしまった。嫌いになれない悔しさや拭い去れない愛おしさが、敢えてずらしたリズムに込められているかのような。そんな表現まで出来るなんて、聞いてない。本当に駄目で、カエル潰した声が出た。悔しい。杢代さんの台詞も本当に最高だった、最低過ぎて。

 

シャッフル企画の原因は君にもある。は、お互いの見え方や各々の拘りが透けて楽しかったなあ。大阪1部に対して「生命誕生の瞬間です」と言う空人さんの感性も好き。でもやっぱり、東京の【アレ】がハイライト。あの瞬間が各記事に掲載されているのがまた良い。写真を見ただけで楽しかった空気感や愛おしさが込み上げてくる。ずっと7人でいて欲しいと願ってしまった。願ったと言えば、最後までベレー帽を切望しましたが叶わなかったので、来年頼みます。(今年はシルバーヘアを堪能出来たということで…)空人さんのアンコール衣装と長野さん因果律衣装の生地が同じだと思っているので、因果律擬似体験だー!と喜んだのも束の間、この後実物を拝むことになる。

 

投票衣装に身を包んだスノウダンスは、季節も相まって苦しい。空人さんと長野さんが背中合わせで歌うところが特に苦しく。無機質で冷たい印象も感じさせるトラックに、淡々と、けれどその奥に感情を見せる歌声が、クリエイターの色も強く感じて。曲によって全く異なる表現を見せてくれるところが好きで、この【ファンミーティング】と銘打ったライブでも遺憾無く発揮してくれるところが好きだと実感した。

 

続くFoxy Grape“そんな目で僕を見ないで”という歌詞を、ステージ上で歌い上げる長野さんに何時だって目を奪われる。相変わらず“手に取った果実は実らず”のリズム感が心地よくて、この人は本日音楽もダンスも好きなんだって思わせてくれるところが、アーティストとしても大好きな要因。曲のテーマも相俟って表情や歌声が、歪みの強いサウンドと合わさってストーリー性を強めるので、本当にげんじぶさんの音楽って何時までも楽しい。

 

自分の人生において、割と大きなウェイトを占めている堀江サウンドが、こうしてMuseum:0として存在している事実は、いつまでも夢なんじゃないかと思う。“光は 貴方が教えてくれた”のところの仕草、表情、目線、何もかもが芸術的。“かつて描いた一縷”の、葛藤の最中にいるかのような表情から一転。“大逆転といこうか”の笑顔がやっぱり大好きで、“貴方と居て生まれた1枚”のところを必ず穏やかな表情で口ずさむところも、最後の“永久に行こう”で一瞬強めの表情を見せるところも、ライトを浴びながら音に身を乗せるところも、何もかもが好き。この曲の主軸が長野さんの言葉だということをずっと抱きしめていきたい。今回も元気に裏打ちしてしまって、本当にさ……。

 

時速3kmの、寄り添ってくれる歌詞が大好きで、そんな曲を1年の締め括りに届けてくれるところが大好きだと思った。近さを意識したライブと仰るだけあり、常にこちらに目を向けてくれていたのに、最後のこの曲を特に大切に丁寧に歌う長野さんが。“ただこうやって見つめ合ってようよ”という言葉を、目の前で、ひとりひとりと目を合わせるかのように歌う長野凌大さんが、大好き。

 

 

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翌日の仕事が休めなくて大阪2部は途中で抜けたし、東京は東京で仕事を納め忘年会を蹴りスーツで新幹線に飛び乗ったことでなんとか10分前に着いたし、最後までドタバタだだたけどそれも良い思い出ということで…👌🏻

 

2023年、げんじぶさんを好きになってからというもの、こんなにも毎日楽しくて、好きだから苦しくて、その苦しさすら愛おしくて。きっとこれから何度も、もっと早く好きになれていたらと思うけど、きっとこれから沢山届けてくれる幸せはひとつも取り零さずに、大切に受け取りたい。

今年はありがとうございました。また来年、よろしくお願いしますね。

 

幸せな思い出をありがとうございましたー❗️

 

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